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藤原学園の『年中夢求』日記

〜今日も顔晴るみんなへ〜

電子レンジ

森山's Honey Bucket 200


 僕が小学4年生だったか?

わが家は「電子レンジ」なる最新でかつ超高価な電化製品を買った。


 家電量販店…などと呼ばれるところが無かった時代、

電化製品はいわゆる「街の電気屋さん」で購入していた。


 当時流行っていた家具調のブラウン管テレビ

 どれほど電気代を食っていたのか知れないクーラー

 4本足のステレオ

 タッチスイッチ式の、背の高い扇風機

 扉が2つある冷蔵庫…


 当時のわが家にやってきたそんな電化製品の中でも、「電子レンジ」は特別な存在だった。


 現代のそれのように多機能ではない。回転テーブルさえも無い。

 「チン」して温めるだけのシンプル機能だ。


 でもその驚異のスピード感、どうして物が温まるのか知れない不思議感…は、僕を虜にした。

何か物を入れては、タイマーを回し、スイッチオンからチンまでの間、飽かずにレンジの中を覗いていた。


そういえば、トンカツを温めようとして加熱時間を間違い、化石状態にしてしまったこともあった。


 どこで噂を聞きつけたのか、ご近所のおばさんたちが、

台所に「電子レンジとやら」を見学にやって来ては

「へ~」とか「ハァ~」とか感嘆の声を上げて帰っていった。

とにかく世の中第1号くらい(?)のタイミングでうちにやってきたレンジだった。


 さっき母に確認すると当時の価格で42万円ほどしたんだとか(!)

今聞いてもたまげる。



 
 なぜそのレンジの話題なのか…


 実は昨日の昼、その電子レンジがついに動かなくなった。



 何回もの引っ越しをした我が家。

 
 電子レンジを購入できる経済状態だったときも、

 
 父が詐欺士に引っ掛かり一文無しになってしまったときも、

 
 兎にも角にも、うちの台所に43年間も居て、母や家内の調理助手として働き続けてくれた。



 最近母がときどき…

 「私が逝くのが早いか…この電子レンジが動かなくなるのが早いか…」なんてことを言っていた。


 O.ヘンリーの『最後のひと葉』の病のジョンジーの言葉を思い出し、

 母には、「何しょうむないこと言うのん…」としか返事できなかった。




 最近「別れるということ」に心が波打つ。



 前の愛車を手放さなければならなかたとき

 家の大掃除で出て来た昔の所持品や子どもたちの衣料品・おもちゃをゴミ袋にいれるとき

 音の鳴らなくなったカセットデッキを廃品回収に出すとき
 
 物との別れでさえ辛くなってしまう…



 精一杯の働きに満足をしてきた。

 どれも決して粗末には扱ってこなかった。

 


 だから…きれいに埃を拭い、

 お礼の気持ちを込めてさようならをすればよい。


 そうは思っても、理解と心情はどこかで食い違う…




 今朝、中3生の合宿出発を見送った帰路、

 車のスピーカーから、お天気キャスターのお姉さんの言葉が流れてきた。


 
 「すっかり葉っぱを落とし寂しげになった木々の梢ですが、

 その分、空が大きく広がって見えるようになりました。」


 
 マイナスをプラスに転換する発想と、

 それを支える強い心を持たなくてはならないと思った。

 
 電子レンジ

   ご苦労様
 


 


 


 
 







 

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