藤原学園の『年中夢求』日記

〜今日も顔晴るみんなへ〜

「アパッチ砦」の酋長

森山's Honey Bucket 339


小学生の国語の教材に飼い犬にまつわる話があった。

筆者は僕と同世代か少し上くらいだろう。

話の背景と僕が子ども時代に見て来た世界とが重なった。


筆者のひとつ下の弟が小学生2年のとき、道端で仔犬を拾ってくる…というのが話の始まりだった。


当時は、家で犬を飼い始めるきっかけの多くは、段ボール箱の中で弱々しく鳴く捨てられた仔犬を、子どもたちが拾って家に連れ帰る…というものだった、と筆者は回想していた。

読み進めるうちに、自分の幼い頃を思い出し懐かしくなった。




僕が小学生の頃、近所でもわりあい犬が飼われていた。が、いわゆる血統書付きの愛玩犬というのではなかった。


人もまた飼われる犬たちも、その生活ぶりは今より遥かにおおらかだった。

正しくは無かったろうが、放し飼いにされている犬もいた。散歩では鎖から解き放たれ、あちこち気ままに闊歩する犬も少なく無かった。

でも、噛まれて騒ぎになった話など記憶にない。


そういえば、餌も今とは随分違う。いわゆるドックフードでは無く、家族の残り物や魚のあらなどを煮込んだものだった。





うちの父は、道端に置き去りにされた犬や猫を、僕の知る誰よりもたくさん拾って来ては、家族の一員に取り込んで可愛がる人だった。


小雨の降る夜中。どこかから微かに仔犬の声が聞こえた。

でも、もうこれ以上、家に動物を増やすことはないだろう…と、納得して眠りについた僕。

明くる朝目覚めると、ペチャリクチャリと皿の牛乳を舐める新しい家族が増えている。



今となっては記憶もはっきりしないが、もっとも多くいたときなど、犬5~6匹、猫7~8匹、インコや文鳥も複数羽…、森山商会(木箱屋)の屋根の上に群れる鳩多数。



そんな動物で溢れかえる我が家を、父は「アパッチ砦」と名付けていた…


西部劇に出てくる掘っ建て小屋に住む部族の名だったような…



そんな父がいつも言っていたのは、


「動物は嘘をつかんからなあ…」

だった。


今想えば…

人が良すぎるばかりに、たくさんの人間に騙された経験のある父ならではの言葉だ。



僕ら家族と、おびただしい数の動物の家族とに愛を注ぎ続けた父。

そんな父が亡くなって間も無く丸6年の年月が流れる。


今、あの世でも母と一緒にたくさんの動物に囲まれて過ごしているのだろう…と、思う。



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