藤原学園の『年中夢求』日記

〜今日も顔晴るみんなへ〜

イ・ノ・シ・シ

森山's Honey Bucket 343


育英西中学の合宿最終日、朝に担当の授業が無かったので、夏合宿で小学生たちが登る予定の「寒霞渓から星が城山」への遠足登山の下見をすることにしていた。


「寒霞渓」は日本三大渓谷美と称せられる名勝地で、小豆島最大の観光地。
「星が城山」は小豆島一の高峰である。



遠足の行程

まず麓の石門堂から標高差390mを1時間少しかけて寒霞渓まで登る。通称「裏八景」。花崗岩が侵食された奇岩が楽しめる。

寒霞渓では中休止。
渓谷美を堪能し、クールダウンも兼ねてお土産物屋を覗き、水分やエネルギーの補給後、名物?1億円のトイレで用を足して、後半の登山に挑む。

目指すは小豆島最高峰、かつ瀬戸内海で最も標高の高い「星が城山(817m)」。休憩ポイントからはあと標高200mと少しを登る。


山頂には昔の要塞跡があり、開けている。

そこに立てば、眼下にはたくさんの島が浮かぶ瀬戸内の景色が広がり、遠くには讃岐山脈越しに四国山地の山々も一望できる。


山の緑。空と海の青。眩しい陽光。麓から駆け上がる風。


汗をかき息を切らせて登った後には、これらのご褒美が待っているのだ。

きっと子どもたちも喜んでくれる…



そんな遠足を安全に成功させるためにも下見は欠かせない。


チャンスは育英西合宿の最終日だった。
6:00には登り始め、10:00迄には「星くずの村」に戻って、閉校式に参加する計画を立てた。



5:00に起床、用意を済ませて出発地点へ移動。

5:50 目指す「星が城」へ向け登山をスタートした。


早朝の朝靄に包まれ、石畳の箇所は足が滑るところがある。しかし子どもたちを引率する時間帯は大丈夫だろう…

6:40 寒霞渓着 誰もいない寒霞渓は初めてだ。1億円のトイレはこの時刻まだ自動扉が開かない。まあ、想定内。


寒霞渓そばの三笠山から星が城西峰を経て主峰の東峰へ。地図看板を確認していると、登山道ではなく遊歩道となっている。
「ゆっくり歩いて40分!」なるキャッチコピーもあった。


ずっと登りが続くが、遊歩道だけあって歩きやすい。頭上は左右の大木の葉が生い茂り緑のトンネルになっている。
夏の炎天下、緑のトンネルは子どもたちを守ってくれるに違いない。


これはいいコースだ。


そんな思いで歩き続けていると、遊歩道の左右の土が不自然に掘り返されたような跡が多く見られる場所に来た。

そしてその不自然な掘り返し跡はほぼ途切れることなく連続的に行く手に続いていた。



ゾワっとする感覚があった。

もしかして…

程なくして勘は的中していたことを知る。



進行方向の左側の草だか小枝だかがガサゴソ鳴った。

と、ほぼ同時に豚の鼻音そっくりのブーブーという鳴き声が、間近から聞こえた。


ついに遭遇してしまったかっ!

全身に緊張が走った。

イノシシだ!


相手を刺激してはならないと聞いていた。

走って逃げることはもちろん、立ち止まって武器を片手に挑んで行く…ようなことは厳禁らしい。(勿論そんなことはよーしないが…)


自分なりに冷静を装いゆっくり歩みを進めながら、必死の思いで左側に意識を集中させていた。

その時、藪の音と鼻音が大きく鳴り、見ると大きな影が左奥に流れていった。

驚き立ち止まる僕の目の前を、今度はウリ坊(仔イノシシ)が右から左に猛スピードで遊歩道を横切って行った。さっきの大きな影の鼻音主を追って行ったように思えた。


行く先の道にはまだイノシシが掘り起こしたのであろう土塊が続いている。


でも、ここで引き返したのでは、下見を終えられない。
戻る道にもイノシシ、行く道にもイノシシの危険を感じ、先ほどまでかいていたのとは違う種類の汗でびっしょりになりながら、とりあえず山頂を目指すことにした。



薄曇りの山頂だったので眼下の絶景は拝めなかったが、吹く風は涼しく汗を入れることができた。


麓の駐車場迄は、身の安全のため大回りになるがドライブウェイを歩いて戻る選択をした。



捨てがたいほんとうに素敵なルートだった。

しかし、子どもたちを危険な目に合わせるわけにはいかない。

少なくとも「寒霞渓」から「星が城」迄のルートは変更しなくてはならない。



下見の大切さを思い知った今回の経験だった。

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