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藤原学園の『年中夢求』日記

〜今日も顔晴るみんなへ〜

ヒゲ先生とJJT

 森山’s Honey Bucket 52

 

 

 もう15年以上も前になると思う。

 

 学園の職員会議の席上、ヒゲ先生が

 

 

 「小生は『全日本JJT』を立ち上げることにした。

 

 J…塾で、J…実験を、T…楽しむ会

 

 で、JJTである。」

 

 

 と話を始められた。

 

 

 常日頃からヒゲ先生は「日本の理科教育の現状は惨憺たるものである。」とおっしゃていた。

 特に公教育への失望を語られるのをよく耳にした。

 

 

 多くの予算を投入され立派な備品を揃えているにも関わらず、事故があってはならないからとか、

 手間を掛ける割に得られる効果が少ないからとか、

 と言う理由で、揃えた備品を真に活用しようとしない。

 そんな公教育の現状について、

 

 理科教育の有様を憂い、現況を打破しようと、

 信念を持って立ち向かう教育関係者が少ないことについて、

 

 子どもたちに最も近い位置に立つ現場教師の中に、

 しっかり理科を勉強しているとは思えない人がたくさんいることについて、

 

 嘆いておられたのを記憶している。

 

 

 

 「学校が駄目なら、塾が立ち上がるより他にない。」

 

 「全国の心ある塾が、子どもたちのために理科実験をする。」

 

 「そのためのノウハウはすべて公開し、塾の先生方が安全かつ有意義に実験できるようヒゲが指導する。」

 

 「小生の構想では、当初は月に一度、小豆島「星くずの村」にてJJTを開催するつもりだ。

 開催の度、小生が塾の先生方を生徒たちに見立てて実験授業をする。同時に「ここではこんな注意が必要 

 だ。」とか、「この場面ではこんな演出をすると子どもたちは大いに喜ぶ。」とか、できる限り丁寧に伝える。

 「実験の要諦は予備実験にある。」これもしっかりと指導したい。

 

 3~4つの実験授業が終わったら、先生方とスキヤキをつつき、杯を酌み交わしながら、塾の使命や経営に

 ついて、また互いの夢についておおいに語り合うのだ。

 小豆島までの交通費のみ自弁。その他JJTへの参加費用は一切無料とし、ヒゲがすべて負担する。

 JJTへの参加資格は唯一、『塾長自らが会に出席することのみ』。

 決済権のある人が相当の覚悟をもって実行に移さない限り、子どもたちのための理科実験指導を

 継続することなどできないからだ。」

 

 

 ヒゲ先生のJJT構想は、先生の頭の中では既に完成をみていたようだ。

 

 寝ても覚めても考え抜いて、「よしっ。」となったら即実行。

 これが僕の知りうるヒゲ先生のいつも変わらぬ生き方だった。

 

 

 やがてJJTの存在は全国の心ある塾長に知られるようになった。

 

 各地方から、生徒数何万という大規模塾の塾長や町の小さな塾の塾長らが毎回「星くずの村」にやってこら

 れた。そしてその都度ヒゲ先生を囲んで、実験を楽しみ、日本の理科教育に果たす塾の役割を確認されてい 

 たようだ。

 ヒゲ先生は乞われて、北海道や沖縄石垣島へも実験をするため出向かれることもあった。

 JJTの活動に共感されたある国立大学の教授が、実験講師として自ら名乗りを上げ応援授業をして

 くださったこともあった。

 

 

 先の専任会議の頃、不安を抱いた僕はヒゲ先生にこんなことを尋ねてみた。

 

 「ヒゲ先生、理科実験は藤原学園のいわば専売特許、学園の大きな特色です。

 全国の塾がヒゲ先生に習って実験を始めるようになれば、わが学園の特色が特色でなくなり、

 結果将来われわれがご飯を食べられなくなるのではないですか?僕はそれが心配です…」と。

 

 ヒゲ先生は豪快に笑いながら、

 

 「君はけつの穴のこまいことを言うね。もっと日本全体のことを考えてみなさい。

 いろいろな場所で多くの子どもたちが実験に歓声を上げ、ものごとをしっかり考えるようになるんだよ。

 それを想像してみなさい。実に素晴らしいことだ。アッハッハ!」

 とおっしゃった。

 

 

 ヒゲ先生の蒔かれたJJTの種は確実に発芽した。

 

 全国の塾で実験を楽しんでいる子たちの数は飛躍的に増えた。

 

 

 「ヒゲ先生、やっぱり最近ご飯が食べ難くなってきましたよぉ…」

 そんな泣き言が天国のヒゲ先生の耳に入るようなことにでもなれば、

 

 「君は何を言っとるのかね!」

 

 こんどは叱り飛ばされるに違いない。

 

 高い志をもち、そのひとつひとつを現実のものとしてこられたヒゲ先生。

 その航跡を掻き消してしまうことのないよう、頑張らねばならない。

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