FC2ブログ

藤原学園の『年中夢求』日記

〜今日も顔晴るみんなへ〜

雲の向こうの満月

森山’s Honey Bucket 121


 3月7~9日、公立高校後期入試の出願期間だ。


 滑り止めの私立高校に併願で合格しているから、「絶対挑戦する!」と潔く「清水の舞台」からジャンプする子もいる。
 

 一方、出願期間に入っても、どこの高校にするか決めかねている子もいる。
世に言う「願待ち」だ。

 「願待ち」する子のほとんどは、実力で意中の高校にうまく合格できるか?という不安を他人よりちょっぴり多く感じてしまい、出願を躊躇してしまうのだ。言い替えれば、覚悟を決めるのに時間を必要としている…それだけのことだ。


 お父さんやお母さん、学校の先生や友人、そして我々、は受験校選択のためのアドバイスはできる。しかし最終決定を下すのは他の誰でもなく本人だ。それが高校入試だ。



 昨夜授業終了後、一人の子が残った。

 受験に対する不安感だけなら、背を押してあげることもできる。しかし彼の場合は違う。

 彼は自分の心にストンと落ちる高校が見つかっていない。まだ納得がいってないという状況だった。

 彼に対して僕の出来ることは、「この高校を受ければ!」と言うアドバイスではない。
とことんまで悩んだのち、「自分でチャレンジすべき学校を見つけた」と納得させることだ。


 もう11時を回る夜中だったけれど、候補に上がっている学校のうち彼がまだ見たことがないというN高校を訪ねてみることにした。

 深夜の校舎や校庭は訪れた者に多くは語りかけない。しかし圧倒的な存在感を示す。
昨夜もそうだった。

 いろいろな話をしながら学校の外まわりをぐるりと廻った。寒い夜だったので、缶コーヒーで両方の手のひらを温めながら歩いた。


 正門まで戻ったとき彼は「きれいな空やなあ…」と言った。
その言葉に誘われて見上げると、薄く広がるまだら雲の向こうに満月が優しく輝いていた。


 思案する高校のすべてを彼はその目と頭に収めた。

 あとは、自分で決断するのだ。

 結果としての合否はだれにもわからない。
 でも、自分で選択し、決断した、という事実は15歳の自分の歴史に刻まれるはずだ。

 
 他人のせいにしない選択。結果に自分で責任を持つ覚悟。

 「大人への階段」があるのだとすれば、一段一段のステップはそんなものでできていくのかも知れない。

Newest

Comment

Leave a comment

Designed by Akira.
Copyright © 藤原学園の『年中夢求』日記 All Rights Reserved.